「日本史学・宮中儀礼に関する対話型電子教材の開発」プロジェクト

 教材開発センターでは、学内の先生方が講義等で使用するICT(Information Communication Technology)活用電子教材の開発とその支援を行っております。その際、学内の「教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクトP&P(Interdisciplinary Programs in Education and Projects in Research Development)」や「教育の質向上プログラムEEP(Enhanced Education Program)」と連携した活動も行っています。本プロジェクトは、文学部EEP「文系ディシプリン科目教科書・副教材の開発-人文学教育カリキュラムの充実を目指して-」の一環として実施しているプロジェクトです。本プロジェクトでは、人文科学研究院の坂上康俊教授と共に宮中の儀式を再現する教材の開発に取り組んでいます。宮中の儀式の様子を紙の媒体だけで学習するのではなく、3次元 CG アニメーションや3D プリンターで出力された建物のモデルを見ながら学習することで、学習内容をより深く理解ができ、学習対象に興味を沸かせることができるようになると考えています。3次元 CG アニメーションで表現するために、種々の故実書や論文等から情報を収集し内容の精査を行いながら、その時代の建物の形状モデル作成を坂上先生と研究室のスタッフ・学生と協働で行っています。写真はその一場面です。登場人物の動線や振る舞いについてもデータ作成を進めています。当該の教材は、Web コンテンツとして開発し Web 上で順次公開していきます。
 
 

プロジェクトメンバー

坂上康俊(人文科学研究院 教授)
山下洋平(人文科学研究院 専門研究員)
竹井良介(人文科学府 歴史空間論専攻博士後期課程)

教材開発センター担当者

岡田義広(センター長 教授)
金子晃介(助教)
中園沙貴(テクニカルスタッフ)

活動概要

平成26年度

 本プロジェクトの開始年度である平成26年度は、平安時代の「官奏」とよばれる諸司・諸国からの上申文書を大臣が天皇に奏上する様子を3次元 CG アニメーションで再現する対話型電子教材の開発に取り組みました。3次元 CG アニメーションで表現するために、種々の故実書や論文等から情報を収集し内容の精査を行い、紫宸殿・陣座・清涼殿の三つの建物の形状モデル作成と大臣・大弁といった登場人物の振る舞いの定義を坂上先生と研究室のスタッフ・学生と協働で行いました。この教材は、WebGLという技術を利用したウェブコンテンツとして開発を行いました。任意のウェブブラウザで閲覧し学習することができます。3次元 CG アニメーションで表現された建物や登場人物の振る舞いを見ることで、「テキストを読んで理解する以上に宮中の儀式の様子をより深く理解することができた」という感想が学生から得られました。

会議等

  • 8月18日(月)15:00-17:00、宮中儀礼・官奏について副教材作成を開始
  • 9月8日(月)15:00-17:00、紫宸殿3D形状モデル作成と3Dプリンタモデルサンプル作成
  • 9月19日(金)16:00-17:30、陣座モデル作成開始
  • 10月24日(金)16:00-18:00、清涼殿モデル作成開始、登場人物モデル作成
  • 11月13日(木)17:00-18:00、紫宸殿モデル作成開始、登場人物モデル作成
  • 12月4日(木)16:00-17:00、閲覧システム作成開始
  • 12月25日(木)16:00-17:00、ステップモード追加
  • 1月29日(木)16:00-18:00、登場人物の動線表示機能追加
  • 3月5日(木)16:00-18:00、陣座モデル修正、閲覧システム第1版完成
  • 3月30日(木)16:00-18:00、タスクモード追加、官奏パート1終了、パート2追加


平成27年度

 本プロジェクトの2年目である平成27年度も、平成26年度に引き続き平安時代の「官奏」とよばれる諸司・諸国からの上申文書を大臣が天皇に奏上する様子を3次元 CG アニメーションで再現する対話型電子教材の開発に取り組んでいます。WebGLという技術を利用したウェブコンテンツとして開発している閲覧システムの完成度も上がり、任意のウェブブラウザで閲覧し学習することができます。紫宸殿・陣座・清涼殿の三つの建物のモデル作成はほぼ完了し、登場人物の3次元 CG アニメーションの作り込みを行っています。また、7月より「除目」とよばれる儀礼について取り組みを開始しました。

会議等

  • 4月16日(木)15:00-16:30、登場人物の動線確認作業
  • 4月24日(金)13:00-14:00、登場人物の動線修正、官奏パート2終了
  • 5月22日(金)13:00-14:00、陣座・紫宸殿・清涼殿の少ポリゴン数モデル作成、動線表示非表示機能、説明文表示機能の追加
  • 6月19日(金)13:00-14:30、陣座・清涼殿モデルの色設定の修正、登場人物アニメーション追加、閲覧システムほぼ完成
  • 7月17日(金)15:00-16:00、説明用動画作成、登場人物アニメーション追加、宮中儀礼・除目について副教材作成を開始
  • 9月11日(金)15:00-16:00、ホームページ整備、説明用動画作成、登場人物アニメーション追加、除目の内容確認作業
  • 10月8日(木)15:00-16:00、ホームページ整備、説明用動画作成、登場人物アニメーション追加、除目の内容確認作業
  • 11月12日(木)16:00-18:00、ホームページ整備、説明用動画作成、登場人物アニメーション追加


報告書・論文発表等

  1. ICER Newsletter No.12 2014.12
    「日本史学・宮中儀礼に関する対話型電子教材の開発」プロジェクト
  2. ICER Newsletter No.14 2015.4
    「3DCG 3DCGアニメーションで学ぶ宮中の儀式 アニメーションで学ぶ宮中の儀式」
    -日本史学・宮中儀礼における対話型電子副教材の開発-
  3. Yasutoshi Sakaue, Urkunden und die mündliche japanischen Altertum,
    Rituale, Symbole und Willensbildung Funktionen und Herrschaftspraxis im Spiegel mittelalterlichen Schriftwesens Kulturhistorische Vergleiche zwischen Europa und Japan Internationale Tagung, Tübingen, 16. /17. März 2015.
    Zusammenfassung:
    Im ersten Panel, das der Urkundenherstellung und den Empfängern gewidmet war, hob YASUTOSHI SAKAUE (Fukuoka) hervor, dass die Willensbildung der Tang-chinesischen Herrscher in einem dreistufigen System erfolgte, bei der jede Beamtenstufe und auch der Kaiser schriftlich auf der Urkunde Ergänzungen vornahmen. Demgegenüber wurde im bürokratischen Verwaltungssystems Japans der Nara- und Heian-Zeit (8.–12. Jahrhundert), das sich aus dem importierten chinesischen Strafrechtssystem selbstständig weiterentwickelte, die mündlich mitgeteilte Entscheidung des Kaisers (shôsho) nach einer Diskussion durch Beamte vom Schreiber fixiert und vom Kaiser lediglich mit „Pro“ oder einem Namenszeichen gekennzeichnet. Sehr anschaulich wurden diese verschiedenen Stufen der Rituale bei der Genese von Schriftlichkeit in einer Animation der virtuell rekonstruierten kaiserlichen Anlagen präsentiert.

制作した教材

制作した教材を動画、またはwebコンテンツとしてご覧になれます。