Global Social Archaeology


講義内容

このコースは3パートからなり、それぞれ15分程度の講義に区切られています。

パート1では、考古学について紹介します。
何についての学問か、なぜ楽しいのか、なぜそのようなやり方で研究するのか、それが現代社会においてもつ意味とは。
また、異なる時期の、しかし現在も共存している、重要な考古学の理論や方法論的パッケージを学ぶことで、考古学の歴史をたどります。
また、世界の異なる地域で行われている、それぞれ異なる考古学についても学び、なぜ、そのような異なったやりかたが生まれたのかを考えます。

パート2では、世界の先住民考古学について講義します。
西洋世界がいかに世界の他の部分を植民地化したか、また、こんにちの先住民の人々がどこに生き、そのことがどのように、今日まで続く、人々の苦難や不平等につながっているかについて学びます。
考古学において、このような不公平がいかに認識され、また改善が試みられてきたかについて、学びます。
また、先住民の人々が、彼らの伝統的生活様式や先祖に敬意を払うような考古学を実践することを通じ、いかにこのような人類の歴史の負の遺産に折り合いをつけてきたかについて、学びます。

パート3では、社会考古学の核になる要素のひとつについて考えます。
すなわち、過去と現在を行き来すること、そして、そのような実践の結果に基づいて、より良い未来を想像することです。
ここでは、日本の、巨大な古墳が生きた二つの生について考えます。
そして、このような(古墳という)モニュメンタルな構築物、その築造、修繕の意味、またその存在が、その築造に巻き込まれた人々、それを見ていた人々、また時にはそれを楽しんだ人々、そしてそれを美しく飾り立てる必要があった人々に対してどのような意味を持ったかについて学びます。そして、私とスミス先生の対話でこのコースを締めくくります。
このコースで学んだことが、いかによりよい未来の創造のために使えるかについて、あなたの想像力を掻き立てることを願います。

※ このコースは基本的に英語での学習になります。ご注意ください。

学習目標

コースの終わりまでに、考古学の歴史、世界の考古学のさまざまな傾向、先住民考古学、考古学的な過去を現在において使用すること、の基礎的知識を身に付ける。

講義計画

Week1 考古学とは何か、そしてなぜか?
・考古学とは何か?
・いかに過去にアプローチするか?
・考古学はいかになされてきたか?
  -考古学の歴史(1)
・考古学はいかになされてきたか?
  -考古学の歴史(2)
・考古学はいかになされているか?
  -世界のそれぞれの地域での考古学

Week2 先住民考古学
・先住民考古学とは何か?
・先住民考古学の歴史
・先住民の知識体系
・先住民の文化的・知的財産とその回復
・先住民考古学の実践

Week3 過去と現在を行き来する:社会考古学の実践
・古墳にどのような意味づけをするか?
・天皇陵としての巨大古墳
・「天皇陵言説」を脱構築する
・異なる古墳の物語を構想する
・対談:現代社会と世界に,考古学はなにができるか?

講師・スタッフ紹介

溝口 孝司
専門は 社会考古学、葬送考古学で、 Ph.D. (University of Cambridge, U.K., 1995) 取得。
趣味は映画館で映画を見ること(ホラー以外)。モットーは『コミュニケーションはつづけねばならない』
主著は Mizoguchi, K., 2013. The Archaeology of Japan: from the Earliest Rice Farming Villages to the Rise of the State. Cambridge University Press.など。

受講を検討されている皆さんへ:
「私たちは、私たちが過去から学んだものから成り立っています。考古学を通じて過去を知り考えることは、あなたの地平を広げ、力づけ、よりよい未来をつくることを可能にしてくれるでしょう。」

クレア・スミス
専門は先住民考古学、ロックアート、ジェンダー、世界考古学で、PhD in archaeology, University of New England, 1996 取得。
趣味は女流探偵小説を読むこと。
モットーは『通っていた高校の標語 “すべてに全力を尽くす” - Omnia Sedulo』
主著は Smith, C. (ed.) 2014. Encyclopedia of Global Archaeology. New York: Springer.など。

受講を検討されている皆さんへ:
「よく働き、楽しんでください。わからないことは聞くように。情熱に従うのが、高い達成のための最高の近道です!」

谷澤亜里
九州大学アジア太平洋未来研究センター学術研究員
専門は、考古学。国家形成と物質文化。

前提知識

  • 歴史的な専門知識については特になしで良い。ただし、一定の英語力が必要である。過去と現在に興味を持ってさえいればよい。
  • TOEIC650点以上(英検2級)程度の英語力を持つことが望ましいが,それ以外の方でも英語・日本語キャプションを十分に活用することにより聴講と理解が可能となる。

課題内容

  1. 毎週(各単元)、選択形式の確認テストを実施
  2. 最終テストも、選択形式で実施

修了条件

最終試験(選択式問題)で60%以上正解する。

参考文献

Archaeology: the basics (2nd Edition)' by Clive Gamble (Routledge, 2007)



制作
附属図書館付設教材開発センター
藤村直美(全体調整)
安西弥生(渉外、字幕翻訳)
殷成久(字幕翻訳)
谷澤亜里 (ティーチングアシスタント)
稲田環(映像制作、演出)
田代岳人(映像制作)
中園沙貴(画面デザイン)
協力学生
高橋尚吾(楽曲(サウンドロゴ)協力)
飯田州人(映像制作協力)
川内六三四(映像制作協力)
星加慧(映像制作協力)
梶原慎司(字幕翻訳協力)
川谷卓哉(字幕翻訳協力)
ケビン・ペルガー(字幕翻訳協力)
高坂かれん (字幕翻訳協力)
フラナガン・ブレンダン・ジョン(字幕翻訳協力)
協力
アジア太平洋未来研究センター
松原孝俊