「著作物等の利用円滑化のためのニーズ」を文化庁へ提出しました

平成27年7月7日~27日、文化庁のウェブサイトにて「著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集」が実施され、九州大学附属図書館および教材開発センターからニーズを提出しました。

「著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集」の結果について  ※文化庁のウェブサイトに移動します
   以下のページに記載されています。
  ・52ページ:29番 九州大学附属図書館、同附属図書館付設教材開発センター
  ・53ページ:30番 九州大学附属図書館

29(団体)九州大学附属図書館、同附属図書館付設教材開発センター
(1)どのような種類の著作物等をどのような場面,方法で利用するにあたり課題がありますか。現在又は将来想定される課題について具体的に御記入ください。また,そのような利用ができないために,既にビジネスに支障が生じている,又は支障が生じうることが考えられる場合は,それについても具体的に記載をお願いします。
世界の大学(高等)教育では、授業や教材等をデジタル化し共有・利活用することにより学修の高度化を図る流れが加速しており、知識獲得は事前のオンライン教育で済ませて授業は発表・討論形式で行う、反転学習と呼ばれる双方向型の新たな教育スタイルの導入などが進んでいるが、我が国では、教員Aが授業甲のために作成した教材を授業乙でも利用するためにサーバに保存したり、その教材を別の教員が利用するといったことが、教育目的の権利制限にかかる著作権法第35条の現行規定ではカバーできず、世界的な教育改革の動きに乗り遅れかねない状況となっている。
(2)(1)で挙げる利用は,現在の著作権法のどの規定(権利に関する規定・権利制限規定)との関係で課題がありますか。
著作権法第35条
(3)(1)・(2)で挙げられた課題の解決方法について
①権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,具体的にどのような制度を望みますか。また,そのような制度設計が望ましいと思われる理由を述べてください。
著作権法第35条第2項の「同時に」という縛りをなくし異時性のダウンロードなどを認めるだけでも色々
なことができるようになるが、ICTを活用する教育スタイルの変化に対応した権利制限を認めていただきたい。
②権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,(1)に挙げた利用が著作権者等の利益を不当に害さない(著作権者等の正規のビジネスとの競合,衝突の有無や度合いを含む。)と判断する理由は何ですか。
・大学では教員や学生に対して研修や授業および規則等を通じて著作権教育をしっかり行っている。
・著作物の利用は、あくまで教育目的の最低限度の範囲内での利用である。
・技術的に著作物の不適当な利用を防ぐことが可能である。
③著作権の集中管理の促進など,ライセンシング体制の充実によって解決すべきとお考えの場合は,具体的にどのような環境整備を望みますか。
  
④その他の解決方法について御提案があれば,理由とともに具体的に御記入ください。
  
30(団体)九州大学附属図書館
(1)どのような種類の著作物等をどのような場面,方法で利用するにあたり課題がありますか。現在又は将来想定される課題について具体的に御記入ください。また,そのような利用ができないために,既にビジネスに支障が生じている,又は支障が生じうることが考えられる場合は,それについても具体的に記載をお願いします。
海外の大学図書館では、電子書籍の導入や学術情報のデジタル化の促進により、情報資源の効率的 な利活用への取組が進んでおり、我が国においても施設狭隘化への対応、アクティブラーニング等へ の対応にかかる場所の確保、電子媒体、印刷媒体にかかわらず学生のニーズに応じた迅速な利用環 境の実現など、図書館におけるコンテンツの整理・効果的な保存が強く求められているが、著作権法第 31条(35条)の現行規定ではカバーできず、世界の動きに取り残されかねない状況となっている。
(2)(1)で挙げる利用は,現在の著作権法のどの規定(権利に関する規定・権利制限規定)との関係で課題がありますか。
著作権法第31条(著作権法第35条)
(3)(1)・(2)で挙げられた課題の解決方法について
①権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,具体的にどのような制度を望みますか。また,そのような制度設計が望ましいと思われる理由を述べてください。
現行の規定でも保存のためであれば電子化は可能であるが、大量の図書等を所蔵する大学図書館が 施設の狭隘化、自主的学修環境の確保、ICT教育などに対応するため、所蔵する資料のうち絶版本な ど入手困難なものについて電子化し、限られた範囲内での利用ができるよう明文化していただきたい。
②権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,(1)に挙げた利用が著作権者等の利益を不当に害さない(著作権者等の正規のビジネスとの競合,衝突の有無や度合いを含む。)と判断する理由は何ですか。
・著作権に対して一定レベルの知識を有する者が多い大学図書館員が当事者である。 ・大学では教員や学生に対して研修や授業および規則等を通じて著作権教育をしっかり行っている。 ・電子化する著作物は絶版本など入手困難な資料であり、あくまで限られた範囲での利用である。 ・技術的に著作物の不適当な利用を防ぐことが可能である。
③著作権の集中管理の促進など,ライセンシング体制の充実によって解決すべきとお考えの場合は,具体的にどのような環境整備を望みますか。
  
④その他の解決方法について御提案があれば,理由とともに具体的に御記入ください。