2D/3D教材開発システム

教材開発センターでは、2013年度に2D/3D教材開発システム,2021年度に次世代ICT活用インタラクティブ電子教材開発システムをそれぞれ導入しています。先生方の講義資料や研究資料の作成等にお使い下さい。

次世代ICT活用インタラクティブ電子教材開発システム

高解像度360度VRカメラ

この装置は、360度全方向を撮れるカメラです。200度撮影可能なレンズを6枚搭載しており、それぞれのレンズで撮影した画像を組み合わせることで全方向をカバーしています。高解像度で撮影できるので、高品質の映像で広範な範囲をカバーする必要がある場所や施設の撮影に最適です。活用事例として、教材開発センターでは、病院地区アイソトープセンターの施設(1棟1F~5F、2棟1F、学生実習棟1F~3F)を撮影しました。これにより、通常は入れない施設内を見学して回ることができます。このほか、九州大学総合研究博物館やフジイギャラリーなどの撮影を行いました。こちらも、それぞれの所有する貴重な所蔵品を見学することができるツアーとなっています。あとで紹介するVRゴーグルと組み合わせれば、より没入感の高い見学体験も可能となります。

高解像度360度VRカメラ InstaPro
高解像度360度VRカメラ InstaPro
高解像度360度VRカメラ InstaPro
ポータブル360度VRカメラ

この装置は、先に紹介した「高解像度360度VRカメラ」と同じように360度全方向を撮れるカメラです。こちらは180度以上撮れる広角レンズ2枚で、全方向をカバーしています。そのほかの違いとしてはポケットサイズのアクションカメラになっていることです。強力な手ブレ補正機能により、動きながらの撮影を簡単に実現します。活用事例として、教材開発センターでは「中央図書館360° VR ツアー」を撮影・公開しています。動画版を見ていただくとわかりますが、中央図書館内を歩くように、360度で見ることができます。これらの動画は、撮影者がヘルメットにカメラをつけた状態で、実際に館内を歩くとこで撮影しています。こうした方法を使えば、キャンパスに来ることができない方にも、360度自由に施設内を紹介する動画の制作が可能です。

ポータブル360度VRカメラ Insta360x2
ポータブル360度VRカメラ Insta360x2
ポータブル360度VRカメラ Insta360x2
周囲撮影用3Dスキャナー

この装置は、周囲にレーザー光線をあてて、その凹凸を感知して3Dデータとして取り込むための装置です。技術的には照射したレーザーが物体に合たって跳ね返った時間を計ることで、距離を計測しています。この装置はレンズを中心に360°の範囲を測定します。取得されたデータは「点群データ」と呼ばれ、点の集まりとなります。活用事例として、九州大学筑紫キャンパスにある風洞実験棟を撮影しました。大きな施設であっても、このような点群にするためには、レーザーの死角をなくすように、いくつかのポイントを決めて撮影することで全体像を正確にスキャンすることができます。完成した点群データを使えば、いつでもコンピュータ上で長さを測ったり、角度を調べたりすることが可能となります。

周囲撮影用3Dスキャナー blk360
周囲撮影用3Dスキャナー blk360
周囲撮影用3Dスキャナー blk360
対象物撮影用3Dスキャナー

この装置は、先に紹介した「周囲撮影用3Dスキャナー」と同じように、対象物にレーザー光線をあてて、距離を計測することで「点群データ」を作成します。こちらはハンディータイプで手に持って対象を計測します。そうして出来上がった「点群」をメッシュに変換することで、それをベースとした3次元CADモデルの作成や3DCGなどに、期待が持てます。活用範囲としては、図面やCADデータがなくて、現物しかないモノであっても、3Dスキャナーを活用することで、同じ部品を3Dプリンタで出力する。あるいは特定の人物の持ち物を3Dスキャンすることで、その人物の身体に合ったモノを作ることができます。これらのことから先の「周囲撮影用3Dスキャナー」とともに、さまざまな用途への応用が期待できます。

3Dスキャナー ArtecLeo
3Dスキャナー ArtecLeo
3Dスキャナー ArtecLeo
VRゴーグル

この装置は、VR(Virtual Reality)、仮想現実と呼ばれるように、装着することで、周囲の現実世界から切り離され、バーチャルな環境に没入することができます。先に紹介した360度VRカメラで撮影されたような映像を用いて、実際にその場所で見ているような感覚を味わうこともできます。通常の360度映像との違いは、単に見るだけでなく、視聴者の視点移動に対応することです。さらに応用範囲としては、アバターを使ったバーチャル会議、ゲームなどがあります。仮想空間の中で、実際に動かしたり、操作したりということが可能となります。先に紹介した点群データから作られたデータも、VRゴーグルを使えば、実際にその空間に入り込むことも可能です。教材開発センターでは、VRを用いた放射線治療や歯の治療に関する教材も開発中です。

VRゴーグル MetaQuest2
VRゴーグル MetaQuest2
VRゴーグル MetaQuest2
多視点自由映像撮影装置

この装置は、視聴者が画面をスワイプする事で、自由に視点を切り替えることができる映像を制作することができる装置です。実際には、複数台のスマートフォンで撮影対象を囲むように設置し撮影します。360°カメラの映像との違いは、自分を中心に周囲を見渡せる360°カメラと異なり、複数の視点に切り替えられることが特徴です。視聴者がアングルを自由に切り替えられる、こちら映像を使えば、手技の技術の習得などに最適です。学習者は、指導者の手技の技術を繰り返し、さまざまなアングルから確認することで、学習効果やスキルの向上が期待できます。活用事例として、教材開発センターでは「レーザー加工機」の使い方について、多視点で撮影した映像を公開しています。

多視点自由映像撮影装置 SwipeVideo 撮影風景
多視点自由映像撮影装置 SwipeVideo スワイプ
多視点自由映像撮影装置 SwipeVideo 必要機材

2D/3D教材開発システム

3Dスキャナー

この装置は、現実の物体の形状をデジタルデータとして保存することが出来ます。例えば、3Dスキャナを利用して、歴史的に価値のある「土器」等の形状を測定し、デジタルデータとして保存することで、土器の形状を風化させることなく後世の人々に伝えることが出来ます。教材開発センターでは、これらのデジタル化した資料を活用して、紙の媒体では実現が難しかった3Dの特徴を活かした電子教材を開発していきたいと考えています。現在の紙の教科書にも歴史的な資料として「土器」の画像などが掲載されていますが、紙の資料では、平面的な画像しか見ることが出来ないので、土器の裏側や立体的な形状が把握しにくい問題があります。3Dスキャナでデジタル化したデータを利用して電子教材を開発することで、歴史的な資料を立体的に閲覧することができ、学習効果や興味・関心などのモチベーションの向上が期待されます。
■システム構成:3次元点群データ(STL, rgv, rvm)と3次元形状データ(ply, obj, dxf等)



3Dプリンター

この装置は、コンピューター上で制作されたデジタル形状を、実際の物として形状を出力する装置です。例えば、CADなどで制作された工業製品の形状データや3Dスキャナーでスキャンした物体の形状データなどを、この装置に入力することで、入力したデータの形状を出力することが出来ます。現在、教材開発センターでは、人文科学研究院の坂上教授と共に宮中の儀式を再現する教材の開発に取り組んでいます。このプロジェクトでは、CADを利用して制作した京都御所内の紫宸殿の形状を、3Dプリンターで出力したり、宮廷の儀式をCGで再現するために利用したりしています。宮中の儀式の様子を紙の媒体だけで学習するだけでなく、3Dプリンターで構築された建物やCGによるアニメーションを見ながら学習することで、学習効果や興味・関心などのモチベーションの向上が期待されます。
■システム構成:樹脂模型(297x210x200(mm))



※写真中の紫宸殿の3Dモデルはプロトタイプ版です。

デジタル顕微鏡

この装置は、肉眼では見ることが出来ないような小さな物体を拡大して閲覧することが出来ます。教材開発センターが所有しているデジタル顕微鏡では最大で200倍の倍率で様々な物体を閲覧することが出来ます。閲覧した物体は拡大写真として保存したり、物体の測量を行ったりすることが出来ます。この顕微鏡を活用して、私達の肉眼では見ることの出来ない部分の知識に焦点を当てた資料を作成し、それらを多くの人々に提供できる形で公開していきたいと考えています。
■システム構成:高解像度画像ファイル(20~200倍、4800(H)x3600(V)画素、RGB各16階調)



ハイスピードカメラ

この装置は、現実世界の動きをスローモーション映像として撮影することが出来ます。ハイスピードカメラは、一秒間に数千枚の写真を連続して撮影することで、スローモーション映像を作り出します。例えば、水風船がはじける瞬間を、一秒間に3000回カメラのシャッターを切って撮影するとします。すると、水風船がはじける様子の連続写真が3000枚できあがります。これらの3000枚の写真を繋いで、一秒間に30枚の絵が切り替わる映像として出力すると、実際の速度の100分の1の速さのスローモーション映像が出来上がります。ハイスピードカメラは、昆虫の羽の動きや物体同士がぶつかる瞬間の映像など、人間の肉眼ではとらえることが難しい映像を撮影するのに適しています。
■システム構成:連続画像ファイル(500~100,000fps、1696x1710画素)



ハイスピードカメラのデモムービーはこちら

視線追尾装置

この装置は、瞳の動きを捉えて人間がどこを見ているかを計測することが出来ます。教材開発センターで管理している視線追尾装置はヘッドマウント式(装置を頭部に装着する方式)の装置です。この装置には、小型カメラの他に、LED ライトと反射ミラーが備え付けられています。反射ミラーを使って、LED ライトの光を瞳に当てることで、小型カメラが瞳の追跡する精度を高めています。視線追尾装置は、人間の瞳の動きの解析を行うのに非常に適しています。解析結果は、よく見られている部分とそうでない部分とをエリアごとに色分けして可視化することが出来ます。視線追尾装置は、電子教材のユーザーインターフェイスの研究などへの活用が期待されています。
■システム構成:視線追尾動画像ファイル(AVI, BMP)と視線座標データ(CSVファイル)



光学式モーションキャプチャー装置

この装置は、人間の動きや物体の「動き」をデジタルデータとして保存することが出来ます。例えば、野球のバッティングフォームやラジコン飛行機が飛ぶ軌跡等をデジタルデータとして保存することが出来ます。動きを測定するために、対象物には赤外線反射マーカーを取り付けています。これらのマーカーの動きを正確に測定するために、対象物の周りを18台のカメラで取り囲みます。各カメラから測定されたデータをパソコンに送り、各カメラからのデータを同期させて対象物の正確な位置を計算します。知識を保存するための機関である図書館にとって、人間の動作や物体の動いた軌跡なども人類が将来にわたって保存していくべき貴重なデータです。教材開発センターでは、データ保存と、保存したデータの活用を通じて、紙の媒体では表現が難しかった物体の動きの内容を視覚的にわかりやすい形にして表現するための新しい教材の開発に取り組んでいます。
■システム構成:モーションデータ(bvh等)