本講座は以下の4週構成となっています。
Week1では、考古学について紹介します。考古学とは何についての学問か、なぜ楽しいのか、なぜそのようなやり方で研究するのか、そして、考古学が現代社会においてもつ意味について学びます。また、異なる時期の、しかし現在も共存している、重要な考古学の理論や方法論的パッケージを学ぶことで、考古学の歴史をたどります。また、世界の異なる地域で行われている、それぞれ異なる考古学についても学び、なぜ、そのような異なったやりかたが生まれたのかを考えます。
Week2では、世界の先住民考古学について講義します。西洋世界がいかに世界の他の部分を植民地化したか、また、こんにちの先住民の人々がどこに生き、そのことがどのように、今日まで続く、人々の苦難や不平等につながっているかについて学びます。考古学において、このような不公平がいかに認識され、また改善が試みられてきたかについて、学びます。また、先住民の人々が、彼らの伝統的生活様式や先祖に敬意を払うような考古学を実践することを通じ、いかにこのような人類の歴史の負の遺産に折り合いをつけてきたかについて学びます。
Week3では、社会考古学の核になる要素のひとつについて考えます。すなわち、過去と現在を行き来すること、そして、そのような実践の結果に基づいて、より良い未来を想像することです。ここでは、日本の、巨大な古墳が生きた二つの生について考えます。そして、このような(古墳という)モニュメンタルな構築物、その築造、修繕の意味、またその存在が、その築造に巻き込まれた人々、それを見ていた人々、また時にはそれを楽しんだ人々、そしてそれを美しく飾り立てる必要があった人々に対してどのような意味を持ったかについて学びます。
Week4では、前半で、社会的、文化的、政治的領域に積極的に関わり、研究対象となるココミュニティと協働し、そのありかたに関与する考古学の実践について紹介します。後半では物質的媒介が人々のコミュニケーションをどのように媒介してきたか、そしてそれが社会のありかたとどのように関わっているかの実例を、先史時代と現代から選んで紹介します。最後に、講師二人の対話でこのコースを締めくくります。
このコースで学んだことが、いかによりよい未来の創造のために使えるかについて、あなたの想像力を掻き立てることを願います。
※このコースは基本的に英語での学習になります。ご注意ください。
考古学がたどった歴史、考古学の理論や方法が開発された背景、世界に共存するさまざまな考古学の実践の傾向を、同時代社会との関わりのなかで位置づけ、説明できるようになること。考古学を通じて現代社会にどのように関与し、それが抱える様々な問題にどのように取り組むことができるか、実例の学習を通じて理解すること。
Week1 :考古学とは何か、そしてなぜか? 2016年1月12日(火)~ 選択式テストあり
Lesson1. 考古学とは何か?
Lesson2. いかに過去にアプローチするか?
Lesson3. 考古学はいかになされてきたか? -考古学の歴史(1)
Lesson4. 考古学はいかになされてきたか? -考古学の歴史(2)
Lesson5. 考古学はいかになされているか? -世界のそれぞれの地域での考古学
Week2 :先住民考古学 2016年1月19日(火)~ 選択式テストあり
Lesson1. 先住民考古学とは何か?
Lesson2. 先住民考古学の歴史
Lesson3. 先住民の知識体系的(1)
Lesson4. 先住民の知識体系的(2)
Lesson5. 先住民の知識体系的(3)
Lesson6. 先住民の文化的・知的財産とその返還
Lesson7. 先住民考古学の実践
Week3 :過去と現在を行き来する:社会考古学の実践 2016年1月26日(火)~ 選択式テストあり
Lesson1. 古墳にどのような意味づけをするか?
Lesson2. 天皇陵としての巨大古墳
Lesson3. 「天皇陵言説」を脱構築する(1)
Lesson4. 「天皇陵言説」を脱構築する(2)
Lesson5. 異なる古墳の物語を構想する
Week4 :考古学の今日と未来 2016年2月2日(火)~ 選択式テストあり
Lesson1. 現代社会に関与する考古学への招待
Lesson2. 現代社会に関与する考古学:バルンガ地域のケーススタディ
Lesson3. 過去における社会変化を理解する
Lesson4. 現代における社会変化を意味づけ、未来を見つめる
Lesson5. 対談:現代社会と世界に、考古学はなにができるか?
溝口 孝司 | |
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専門は 社会考古学、葬送考古学で、 Ph.D. (University of Cambridge, U.K., 1995) 取得。 趣味は映画館で映画を見ること(ホラー以外)。モットーは『コミュニケーションはつづけねばならない』 主著は Mizoguchi, K., 2013. The Archaeology of Japan: from the Earliest Rice Farming Villages to the Rise of the State. Cambridge University Press.など。 受講を検討されている皆さんへ: |
クレア・スミス | |
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専門は先住民考古学、ロックアート、ジェンダー、世界考古学で、PhD in archaeology, University of New England, 1996 取得。 趣味は女流探偵小説を読むこと。 モットーは『通っていた高校の標語 “すべてに全力を尽くす” - Omnia Sedulo』 主著は Smith, C. (ed.) 2014. Encyclopedia of Global Archaeology. New York: Springer.など。 受講を検討されている皆さんへ: |
谷澤亜里 | |
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九州大学附属図書館付設教材開発センター助教 専門は、考古学。国家形成と物質文化。 |
各Weekの確認テストと最終テストの合計: 100点
すべてのテストの解答期限: 2016年2月16日(火)
修了証発行日: 2016年2月22日(月)
最終試験(選択式問題)で60%以上正解する。
Archaeology: the basics (2nd Edition)' by Clive Gamble (Routledge, 2007)